ボールを打とうとすると、なぜか体が動かなくなる…それがゴルフのイップスです。
アマチュアゴルファーにはあまり関係ないように聞こえますが、アメリカのクリニックの研究によると、ゴルファーの約半数がイップス経験があり25年以上のプレーヤーがなりやすい傾向にあるようです。
何かの拍子に突然クラブが振れなくなり、ゴルフをやめていく人も多いとか…。技術が卓越したプロゴルファーでもなりますので、何か深い問題がありそうですね。
今回は、ゴルフのイップスの原因やそのメカニズム。プロゴルファー達がどうやって克服していったのかを調査してみました。
スイングしようとするとなぜか体が動かない…、ゴルフ歴は長いのに初心者みたいなミスをするようになった…、といった方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ゴルフのイップスとは…?
ゴルフのイップスとは、1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーが、この症状によってトーナメントからの引退を余儀なくされたことで知られるようになりました。
アーマーは、今までスムーズにパッティングをしていたのに、ある日突然、カップのはるか手前にしか届かなかったり、ショートパットなのにグリーンオーバーしたりするようなパットをしていたそうです。
国内外、年齢性別、プロ・アマ問わずどんなゴルファーにも起こりうることで、現在も多くのトッププレーヤーが苦しんでいます。
主に以下のような症状があります。
パッティングのとき極端にショートしたりオーバーしたりする |
アプローチのときダフリや引っ掛け、トップが頻発する |
ドライバーではトップからダウンスイングがスタートできない |
腕が思うように動かなくなりゴルフクラブのヘッドをコンロールできない |
イップスになる原因
未だ解明されていません。正しいレッスンを受けても悪化したりするようです。
一つの可能性として、加齢に伴う脳の生化学的変化の結果ではないかと考えられているそうです。
スイングで筋肉を使いすぎたり、精神を集中しすぎたりすることで悪化する場合もあります。
プロゴルファーなどは、試合で大きなプレッシャーがかかります。その1打が自分の人生を左右するという強烈なストレスの影響も考えられるでしょう。
また別の原因として、指を使う音楽家に多い「局所性ジストニア(自分が意識していないのに筋肉が勝手に収縮を起こす神経の疾患)」の可能性もあると言われています。
この症状は繰り返し同じ動きを繰り返すことで発症すると言われています。
苦しんだプロゴルファーたち
ゴルフの歴史を紐解けば、この名前が登場する以前から、多くのゴルファーが苦しんできました。
当時、まだこの言葉が一般的ではなかった頃、観客も本人も一体何が起こっているのか分からなかったと言います。
当人は大まじめで打っているのですが、ボールはグリーン上を行ったり来たり、まったくカップに入りませんでした。
<宮里藍>
日本ゴルフ界の顔として長い間活躍した宮里プロ。世界ランキング1位になるなど、日本ゴルフを飛躍させた人気プロゴルファーの一人です。
パターの名選手でもあった宮里プロですが、突如パターイップスにかかってしまい成績は急降下。調子を戻すことなく引退となってしまいました。
<佐藤信人>
ツアー通算9勝のトッププロ。長い間パターのイップスに悩まされ優勝から遠ざかってしまいました。だんだんとショットも不調になっていき、苦しいシーズンを送ったようです。
フィニッシュの形だけを意識して、インパクトゾーンはあまり気にしないようにすることでだんだんとイップスが軽減されていったそうです。
佐藤信人プロが陥ったイップズの症状と、改善のためのポイントを語ってくれました!
<トミー・アーマー>
最初にイップスとは何か?を考えたプロゴルファー。全米、全英オープンなども制していますが、突如勝てなくなりました。その原因はパッティングでした。
<サム・スニード>
イップスに苦しみ抜いて、サイドサドル・スタイル(少しかがんだ姿勢でカップに正対し、左手はグリップエンドをつかんで軸として右手でストロークするスタイル)を考案しました。
<ベン・ホーガン>
1953年メジャーで3勝しましたが、それ以降は勝利していません。パッティングが原因と言われています。
<ベルンハルト・ランガー>
クロスハンドグリップ、長尺パターが有名なゴルファーです。
<アーニー・エルス>
2016年のマスターズ大会で、60センチの長さを6パットしています。その年から禁止された中尺・長尺パターのアンカリングの影響が大きいようです(アンカリングはパターの一部を体に固定すること)。2010年頃からパッティングに悩み、まだ暗いトンネルから抜け出せません。
<湯原信光>
アイアンの名手でしたが、パッティングでは良い成績は残せませんでした。
<トム・ワトソン>
パッティングの不調で、賞金王に輝いてからの新帝王時代は長くは続きませんでした。克服までに長い時間がかかりました。
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プロに学ぶ!イップスの解決法
ゴルフのイップスとは、精神的な部分が大きいのですが、戦っているゴルファーを見てみると、いろいろ工夫して立ち向かっています。
理論や解決法に正解はありませんが、過去の事例を元にした方法をご紹介します。
パターは反復練習あるのみ
女子プロゴルファーの宮里藍選手は、実はドライバーとパターの2回も経験しています。
ドライバーは飛ばさないことを意識したら徐々に直っていったそうです。パターに関しては、とにかくたくさん練習して技術を向上することで克服したようです。
パターに関しては、他のプロゴルファーもとにかくパターを打ち続けることで克服しています。
一方で、パタークラブを変更することでの改善はあまり効果がない方が多いようです。
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アプローチはベタピンしなくてOK
ゴルフのイップスは、パターのイメージが強いですが、アプローチにもあります。
2013年の賞金女王に輝いた森田理香子選手はアプローチのイップスを公表しました。寄せの場面になると体が動かなかったそうです。
ピンに寄せたい!という気持ちが強すぎるとなかなかテークバックが取れなくなってしまいます。「寄ればラッキー」くらいの軽い気持ちを持つことが大切なようです。
技術的には、グリップを極端でも良いので短く持って芯に当たるように打つといいでしょう。短く持つことによって、コンロールしやすくなりますので、ミスショットも減らせます。
↓↓↓アプローチが不調の時は、いろいろなショットを試さずに短い距離でスイング練習しましょう。詳しい方法はこちらをご覧ください。
ドライバーは欲を捨てよう
ドライバーでは、「もっと飛距離を出したい!」「スイングをコンロールしたい!」と追求するあまり、トップから振り下ろせなくなったりするようです。
足踏みしながらハーフスイングで振ってみたり、ゴルフクラブを2~3本持って重くした状態でスイングして、クラブを意図的にコンロールできないようにして取り組んでみてください。
無意識下で体全体の力を使ってスイングする感覚が身に付けば改善の第一歩です。
ゴルフ専用の素振りバットを使うのも効果的です。重量があるので体全体で振らなければスイング出来ません。
ゴルフボールを打ちまくるより、こういったアイテムを使用して練習することもおすすめします。スライス改善や、純粋な飛距離アップにも◎です。
↓↓↓ゴルフおすすめ練習器具をまとめました!効率良いスイング改善の参考にしてみてください!
ゴルフのイップスとは、初心者よりもある程度の経験者に多いようです。
1つのことを追求し過ぎることで起こるのかもしれませんが、答えは未だ解明されていません。
感覚派ゴルファーの青木功プロは、自分の失敗を運のせいにして自分で背負いこまないから立ち直りも上達も早いと言われています。
また、宮里藍選手の兄、聖志プロは、不調のとき1週間クラブを握らなかったらフィーリングがとても良くなったと言っていました。
不調な時ほどしばらくゴルフクラブを置いてみたり、開き直って何も考えずに楽しんでプレーすると何かヒントがもらえるかもしれませんね。