世界の女子ゴルフ界に大きな影響を与えている韓国人ゴルファー。
現在、女子世界ランキングトップ10には5人もの韓国人選手がランクインし、2017年全米女子オープンはトップ10のうち上位8名が韓国の選手でした。
帰化選手も含めればさらに多くのプレイヤーが世界で活躍しています。
日本国内でも2015・2016年の賞金女王はイ・ボミ選手。
2017年7月現在の賞金ランクの1位もキム・ハヌル選手です。
韓国の人口は日本の半分以下の約5000万人。
この中からなぜこれほど多くのトッププレイヤーが現れるのでしょうか?
今回は、世界のゴルフ界で活躍する彼女たちの強さの秘密に迫ります。
韓国女子プロゴルフ界の歴史
韓国ゴルフ界の歴史は浅く、韓国女子プロ協会が創設されたのはなんと1988年とわずか30年ほど前。
その歴史を大きく変えた人物がデビューした1998年にいきなりメジャー大会で2勝をあげた朴セリ選手でした。
メジャー通算5勝を挙げたこの選手の影響で、韓国では空前のゴルフブームが到来。
当然ゴルフを始める少年少女が急増。それに伴ってゴルファー育成プログラムが国を巻き込んで発達していきました。
その時の影響を受けた世代が現在、世界中で活躍しています。
1人の選手が韓国ゴルフ界を急激にレベルアップさせたと言っても過言ではありません。
韓国のゴルフ事情
ゴルフ場の数はその国の経済やゴルフ環境に直結しています。
【世界のゴルフ場数】
・日本 約2400
・アメリカ 約15000
・イギリス 約2800
・韓国 約500
上記をみると日本や欧米と比べてゴルフ場の数はとても少ないですね。
しかも韓国は冬の間は雪でほとんどラウンドが出来ない場所もあります。
お世辞にもゴルフ環境が他国より優れているとは言えない中、多種多様なコースに対応できる優れた選手が多いのは本当に驚きです。
圧倒的な練習量と覚悟
韓国では毎年学生(小・中・高・大)合わせて60名の中から国家の代表選手が選ばれます。
選ばれた学生たちは年間200日を超える合宿や海外遠征といった一流の育成プログラムによって生活のほとんどをゴルフに費やします。
さらにゴルフ用品やその他さまざまな特典が国によって保証。
しかし代表になったからといって安心できるわけではなく、その中にも1軍2軍のようなものがあり、毎試合のポイント制で評価され点数の低いものはどんどん切り落とされる激しい競争にさらされます。
韓国では日本よりもゴルフの敷居が高く一般のプレー料金なども倍以上違います。
お金持ちのスポーツであるゴルフを自分の子供にさせるためには、家族の運命もかけて投資しているといった側面があります。
選手たちもそのことは重々承知のうえなので「絶対に賞金を獲得する」という目的の強さが最終的な1打を決める強さに繋がっているのかもしれません。
プレイスタイル
彼女たちは基本にとても忠実です。
どの選手を見ても癖がなく非常にきれいなフォームをしています。
韓国では日本の育成プログラムよりも遥かに厳しく基本を徹底的に叩き込まれ、球の行方は気にせずとにかくしっかりスイング出来ることを第一に教え込まれます。
基本に忠実だからこそどんなコースやシチュエーションでも冷静に対応できているのかもしれません。
韓国ゴルフ界の強さは、国が後押しする幼少期からの育成プログラムや凄まじい競争社会、そして何より彼女たちの「絶対に勝つ!」という強烈な目的意識が関係していると言えます。
世界のトップに国内の選手がたくさんいれば、それに憧れてゴルフを始める子供が増えます。
今この瞬間も第2のイ・ボミやキム・ハヌルになるべく必死にクラブを振っているジュニア達が大勢いるでしょう。
これからも世界の女子ゴルフ界をリードしていくであろう彼女たちから目が離せません。