リッキー・ファウラーはアメリカでも絶大な人気を誇るプロゴルファーです。アマチュア時代からいくつものタイトルを獲得、若手の大注目選手としてプロ転向を果たします。
一時はタイトルから遠ざかる時期もありましたが、PGAツアーの優勝やメジャーでの活躍で人気と実力を兼ね備えたプレイヤーへと成長しました。
今回はリッキー・ファウラーのこれまでの歩みと人気の理由に迫ります。とある少年との出会いと別れのエピソード、強さを支えるスイングの秘訣も紹介しますのでぜひご覧ください。
目次
プロフィール
出典:Golfweek
リッキー・ユタカ・ファウラー=Rickie Yutaka Fowler
身長=175センチ 体重=68キロ
生年月日=1988年12月13日(29歳)
生い立ち
出典:PGA.com
アメリカカリフォルニア州アナハイムの出身。母の父にあたる祖父が日本人のためミドルネームが「ユタカ」になっています。
父がモトクロスの選手だったこともあり、子供時代はモトクロスを中心に打ち込んでいました。ただ、祖父に連れられて幼少のころにゴルフも始めています。本格的にゴルフに取り組みだしたのは14歳のころです。
アマチュア時代
出典:GolfDigest
カリフォルニア州マリエータにある高校に進学、最終学年のときにSWリーグという大会で優勝するなど徐々に頭角を現していきます。
大学はオクラホマ州立大学に入学。2007年10月に行われたイリノイ大学主催のファイティング・イリノイ・インビテーショナルで、2位と1打差で優勝を果たしています。
2007年から2008年にかけては「Sunnehanna Amateur」を2連覇するなど、リッキー・ファウラーはアマチュア大会で数々の栄冠を獲得。ウォーカーカップの代表選手に選ばれてアメリカの勝利にも貢献しました。アマチュアの世界ランキング1位の座を36週間守り続けたこともありました。
プロ時代
2009年9月にプロに転向。同年12月にQスクールを受けて15位タイの成績となり翌年のツアー出場権を獲得しました。
新人王獲得
2010年は28試合に出場して、ベスト10に7回入る成績。2位が2回・3位が1回と初めてのシーズンで素晴らしい成績。ロリー・マキロイも候補に挙がりましたが、リッキー・ファウラーが新人王に輝きました。
プロ初優勝
出典:GDO
2011年、リッキー・ファウラーはアジアツアーの韓国オープンで2位のロリー・マキロイに6打差をつけてプロとして初優勝を遂げます。
そして2012年のウェルズファーゴ選手権では最終日、3打差を追ってスタート。ロリー・マキロイ、D.Aポインツとのプレーオフを制して待望のPGAツアー初優勝を勝ち取りました。
↓新人のころからともに争ってきたロリー・マキロイのこれまでの歩みと強さの秘密を特集しています。ぜひご覧ください。
スターについた別名とは
出典:Function18
プロ転向後から積極的なゴルフを見せてギャラリーを魅了していたリッキー・ファウラーはたちまち人気になります。トーナメントの最終日には大学のスクールカラーであるオレンジのウェアを着用することもあって、いつも人目を引く存在になっていました。
ただ、PGA初優勝から2年間、チャンピオンになれない期間があり、人気先行に「最も過大評価されている選手」と評されることもありました。
実力を証明する3勝
出典:CHEMAWA GOLF
2015年にはヨーロピアンツアーのスコットランドオープンで初優勝。さらにPGAツアーでもザ・プレイヤーズ選手権をプレーオフの末に制覇、ドイツ銀行選手権も優勝を飾るなど、この年は3勝を挙げます。リッキー・ファウラーは世界のトップ選手として堂々の活躍を見せました。
メジャーでの成績
出典:Function18
人気と実力を兼ね備え、メジャー制覇への期待が年々高まっていますが、これまではあと一歩のところでタイトルを逃してきました。
リッキー・ファウラーは2014年にマスターズで5位タイ、全米オープンと全英オープンで2位タイ、全米プロで3位タイの成績に。メジャーに36回出場、5位以内にも8回入っています。
20代で上り詰めた世界のトップ、リッキー・ファウラーが次につかみ取るタイトルは何か。メジャー制覇にも大きな期待がかかっています。
メジャー成績一覧
生涯獲得賞金
獲得賞金 | 賞金ランク | |
2010年 | $2,857,108 | 22位 |
2011年 | $2,084,681 | 36位 |
2012年 | $3,066,293 | 21位 |
2013年 | $1,816,742 | 40位 |
2014年 | $4,806,117 | 8位 |
2015年 | $5,773,430 | 4位 |
2016年 | $2,713,563 | 32位 |
2017年 | $6,083,197 | 6位 |
2018年 | $4,235,237 | 16位 |
合計 | $34,007,458 | 23位 |
スイングの特徴
リッキー・ファウラーのスイングでもっとも特徴的なのはバックスイングのときの上半身の回転です。深くまで回転してパワーをためており、その角度は145度近くと言います。これは高い柔軟性を持っているからこそできるスイングです。
そして上半身がそれだけひねられているにもかかわらず、下半身がしっかりと安定しています。大きな捻転差が生まれるため、175センチという小さな体でも300ヤードを超える飛距離を出すことができるのです。
↓プロとアマチュア、そのスイングの違いはどこにあるのでしょう?徹底検証していますので参考にしてみてください!
ここが世界トップクラス
リッキー・ファウラーの好成績を支えているのはすべてのショットで穴がない万能性です。飛距離こそPGAツアーランキング56位ですがそれ以外の数字はのきなみ、ベスト20位以内に入っています。
特に優れているのがトータルドライブとリカバリー率。ともに10位に入っています。トータルドライブは飛距離とフェアウェイキープ率の合計の数字。リカバリー率はパーオンに失敗したホールでのパー以下を拾える割合です。
どの番手でも正確無比なショットが打てること、ピンチに陥ってもそれが発揮されることで、リッキー・ファウラーはPGAツアーでも屈指の好成績を残しています。
↓世界一美しいと称されるスイングで頂点に君臨するアダム・スコット、これまでの歩みと正確なショットの秘密に迫ります!
人気の秘密
出典:GOLFMAGIC
一番のファンの声援
助けを求めている人がいたらすぐに手を差し伸べる。行動に移す。いつもそうしいるからリッキー・ファウラーは誰からも愛される存在になりました。
2013年のフェニックスオープンでのことです。リッキー・ファウラーは一人の男の子と出会いました。自分が最終日に切るオレンジの服をまとった子、その名前はグリフィン・コネルと言いました。
気道に生涯を持っていて言葉を発することができないグリフィンくんはリッキー・ファウラーが大好き。テレビで見るといつも大喜びをするので両親が試合会場まで連れてきてくれたのです。
それから毎年、同じ大会にグリフィンくんはやってきました。トーナメントではいつも笑顔でリッキー・ファウラーを応援しました。手術を何度も受けて回復に努めながら、大好きなリッキー・ファウラーに会うのを楽しみにしていました。
やがてグリフィンくんはメールが使えるようになって、2人の交流は頻繁になりました。
出典:GOLF MONTHLY
「僕の調子が良くても悪くてもいつも天使のような笑顔で応援してくれた。彼は僕のナンバー1のファン」。リッキー・ファウラーは話していました。
しかし2018年1月、グリフィンくんは7年という短い生涯を閉じます。訃報を聞いたリッキー・ファウラーは茫然としたといいますが、すぐに何ができるかを考えました。そしてキャップにグリフィンくんの写真をつけて一緒にプレーをしました。
「彼の笑顔と魂は永遠に僕のそばにある」。リッキー・ファウラーとともに戦ったグリフィンくん。その存在は大勢のファンの心の中にも残り続けます。
出典:ゴルフネットワーク
最後のゴルフをともにして
2017年11月。リッキー・ファウラーはある初老の男性とゴルフを楽しみました。
男性はジョージア州に住むヘルマン・レイエスさん。末期のすい臓がんに侵されている状態でした。レイエスさんはゴルフが大好きで、人生の最後にリッキー・ファウラーとゴルフがしたいと望んでいました。
それを知ったリッキー・ファウラーはそれに応えてアトランタまで飛びます。そしてレイエスさんと一緒にラウンド。コースを回ってゴルフを共に楽しみ、笑いあったと言います。
「すべてが素晴らしかった。僕はあの日のことを一生忘れない」。そう振り返っています。約1ヵ月後、レイエスさんは残念ながら帰らぬ人となりました。
その次の週に行われた「ヒーロー・ワールドチャレンジ」でリッキー・ファウラーは最終日に61というコースレコードをマーク。逆転で優勝を果たします。
レイエスさんとともに勝ち取った、栄冠。それはリッキー・ファウラーが彼に勝利を届けたいという強い思いから生まれたものだったのでしょう。
世界ランク推移
使用クラブ
出典:GolfDigest
■ドライバー コブラ KING F8+ ドライバー(8度)/アルディラNV 2K Blue(70X) |
■FW&UT コブラ F8+ フェアウェイウッド(3番、13度) コブラ F8+ Baffler(5番、14.5度) |
■アイアン KING フォージド MBアイアン(4番~PW) |
■ウェッジ コブラ キング Vグラインド(52度、56度、60度) |
■パター スコッティキャメロン ニューポート2 GSSプロトタイプ |
■ボール タイトリスト プロV1ボール |
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今回はアメリカPGAツアーで活躍するリッキー・ファウラーについて紹介しました。母型の祖父が日本人で、以前来日したときには日本食が大好きだと話しています。
待ち焦がれたメジャー制覇はいつ果たされるのか、そして日本で再びその雄姿が見られるときはいつ訪れるのでしょうか。リッキー・ファウラーの今後のプレーから目が離せません。