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アマチュアのころからゴルフで頭角を現し、タイガー・ウッズになぞらえて「ホワイト・タイガー」の名前で呼ばれた逸材、それがアダム・スコットです。
プロになってからもヨーロッパ、そしてアメリカツアーでタイトルを獲得。2013年のマスターズではオーストラリア出身選手として初めてメジャータイトルを手にしました。
世界中のゴルファーのお手本になるような美しいスイング、正確なショットが最大の武器。一時はパターの不調にも悩まされましたが、今、復活のときを迎えています。
今回はオーストラリアが生んだ世界屈指のゴルファー、アダム・スコットを特集します。生い立ちからこれまでの経歴、強さの秘密をご紹介しますのでぜひご覧ください。
目次
プロフィール
アダム・スコット=Adam scott
身長=183センチ 体重=82キロ
生年月日=1980年7月16日(38歳)
生い立ち
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オーストラリア南部のアデレード出身。アダム・スコットは5歳のころからゴルフを始めました。
きっかけは、オーストラリアが輩出した英雄、グレグ・ノーマンに憧れたこと。幼少期はテニスやクリケットなどいろいろなスポーツを経験、13歳でゴルフに専念することを決めました。
アマチュア時代
1996年と1997年に全豪ジュニアを連覇、99年には全米アマチュア選手権で3位に入るなど、アダム・スコットはトップアマとして活躍します。2000年6月にネブラスカ大学を中退しプロに転向しました。
プロ時代
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アダム・スコットはプロに転向した直後、ヨーロピアン選手権へ参戦。2001年1月のアルフレッド・ダンヒル選手権で早くもツアー初優勝を挙げました。
デビュー当時からタイガー・ウッズと同じブッチ・ハーモンに師事していたこと、スイングが似ていたことからアダム・スコットには「ホワイト・タイガー」の異名がつけられるようになりました。
2001年の全英オープンでメジャー初出場、翌年のマスターズでは初めての参戦で9位に入賞するなど存在感を見せていきます。2002年は3月のカタール・マスターズと8月のスコットランドPGA選手権で優勝、ヨーロピアンツアーで2勝を挙げました。
アメリカPGAツアーへ本格参戦
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2003年9月、アダム・スコットはアメリカPGAツアーのドイツ銀行選手権で優勝。アメリカでも王者となります。この大会は憧れでもあるタイガー・ウッズがホストを務めるトーナメントでした。
2004年からはアメリカに活動の拠点を移し、PGAツアーに本格的に参戦します。3月のザ・プレーヤーズ選手権で優勝、その3か月後のブーズアレン・クラッシックでもチャンピオンに。2004年、アダム・スコットは年間2勝を挙げました。
世界のトッププロに
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2004年には全米プロでも9位タイに。2006年には全英オープンで8位タイ、全米プロで3位タイの好成績を収めました。
同年にはPGAツアーの最終戦で年間賞金ランク30位までしか出場権のない「ツアー選手権」に出場。2位に3打差をつけて11アンダーで初優勝を飾りました。これによって、年間賞金ランキングは3位となり、アダム・スコットは名実ともに世界のトップゴルファーと認められる存在になりました。
2008年、車のドアに手を挟んで骨折。さらに趣味で楽しんでいたサーフィンで膝を脱臼する大けがをしてしまいます。2009年度、アダム・スコットは賞金ランキング108位にまで順位を落としてしまいました。
メジャーでの惜敗
2011年にはマスターズでメジャーでの自己最高となる2位タイでフィニッシュ、アダム・スコットは完全復調へ大きな一歩を刻みました。8月のWGCブリヂストン招待でリッキー・ファウラーらを4打差で押さえて17アンダーで優勝を果たします。
2012年のマスターズは8位タイ。迎えた全英オープンでアダム・スコットは最終日、11アンダーで首位スタート。しかし15番から18番まで4連続ボギーを叩くという悪夢のような展開に。
結局6アンダーでフィニッシュ、7アンダーにスコアを伸ばしたアーニー・エルスに逆転で優勝をさらわれてしまいました。
マスターズ初優勝
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メジャー初制覇を期して臨んだ2013年、アダム・スコット12回目のマスターズ。栄光の瞬間がついに訪れます。
3日目まで6アンダーの成績でアダム・スコットが迎えた最終日。雨のオーガスタでの争いとなりました。18ホールを終えて通算9アンダーとしたのはアダム・スコットとアルゼンチンのアンヘル・カブレラです。
プレーオフの1ホール目はお互いにパー。続いて10番で行われた2ホール目は2人ともパーオンに成功します。先に6メートルのパットを外したカブレラに対して、アダム・スコットは4メートルを沈めて勝負あり。
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雨天の中で両手を突き上げ、オーストラリア出身の選手としては初めてマスターズのチャンピオンとなりました。
自身初のメジャー制覇は、憧れだったグレグ・ノーマンも達成しえなかったマスターズの栄冠、そして長尺パターを使った初めての優勝者ともなりました。2014年5月には世界ランキング1位の座にも上り詰めました。
パットの不振と復活
出典:GolfDigest
長尺パターを使ってきたアダム・スコットですが、その後パターの不振から成績も低迷してしまいます。2016年にはアンカリング規制(グリップや握った手を身体につけて支点にすることを禁止するもの)によって長尺から短尺パターに切り替えます。
この年、アダム・スコットはザ・ホンダクラシックとキャデラック選手権に勝利。復調を遂げたかに見えましたが、翌年も優勝を勝ち取ることはできず。世界ランキングも70位台まで後退してしまいました。
その後、再び長尺パターに切り替えたアダム・スコットは2018年の全米プロでも3位に入るなど、再び輝きを見せています。
↓アメリカが生んだゴルフ界の「レジェンド」フィル・ミケルソンの特集です。愛される人柄とゴルフの強さの秘密を紹介しますのでぜひご覧ください。
ツアー成績と生涯獲得賞金
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アダム・スコットの生涯獲得賞金は49,417,393ドル、日本円にして約56億円となっています。
・これまでの各ツアー優勝(カッコ内はメジャー)
PGAツアー | Europeanツアー | Others | |
2000 | 0 | 0 | 0 |
2001 | 0 | 1 | 0 |
2002 | 0 | 2 | 0 |
2003 | 1 | 1 | 0 |
2004 | 2 | 0 | 0 |
2005 | 1 | 1 | 1 |
2006 | 1 | 0 | 1 |
2007 | 1 | 0 | 0 |
2008 | 1 | 1 | 0 |
2009 | 0 | 0 | 1 |
2010 | 1 | 1 | 0 |
2011 | 1 | 0 | 0 |
2012 | 0 | 0 | 1 |
2013 | 2 (1) | 0 | 2 |
2014 | 1 | 0 | 0 |
2015 | 0 | 0 | 0 |
2016 | 2 | 0 | 0 |
2017 | 0 | 0 | 0 |
2018 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 13 (1) | ※7 | ※6 |
※その他ツアーとの重複分は除く |
メジャー成績一覧
スイングの特徴
アダム・スコットはPGAツアーでも28位、平均飛距離304.6ヤードを誇ります。特徴はバックスイングのときとダウンスイングのときのクラブの角度や前傾姿勢、頭の位置がほとんど変わっていないことにあります。
軸がまったくぶれずにクラブを振れる、美しさを感じるスイングです。腰の角度は45度以下に抑えられる一方で、肩はよく言われる90度よりもさらに回転しているために、捻転差が大きくなっていてこれが飛距離を生む一つの要因になっています。
腕や手を使わず、体の動きで大きくクラブを使っているために、曲がらずに300ヤードを超える飛距離を生み出すことが可能になっています。
ここが世界トップクラス
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アダム・スコットはアイアンの正確さが世界でもトップクラスです。まずはパーオン率を見てみると昨年度のデータでは71.2%でPGAツアーの中でも6位につけています。
単純にグリーンに乗せるだけではなく、全選手のうちでストロークにどれだけ貢献しているかを表す「ストローク・ゲインド・アプローチ・グリーン」という指標もあります。こちらも全選手の中で7位の結果を収めています。
ドライバーで飛距離を稼ぎ、正確なアイアンショットでスコアを伸ばしていく。そんなプレースタイルの選手たちの中でもトップクラスの精度を誇っているのがアダム・スコットです。
強さの秘密
ドライバーもアダム・スコットの大きな武器になっています。
昨年度のフェアウェイキープ率は67.86%と全選手の中で47位。上位に入っていることがわかります。さらに飛距離とフェアウェイキープ率を合わせた「トータルドライブ」のランキングを見ると、全選手の中で15位に入っています。
これは飛距離を出しながら、かつ曲げないドライバーを打つことができていることを表しています。ショットメーカーとしてアイアンだけではなくドライバーでも精緻なショットを続けていることがわかります。
↓世界の舞台で戦う松山英樹、そのギア選びとパッティングについてまとめましたのでぜひチェックしてみてください。
性格と人柄
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・親日家
アダム・スコットは親日家としても知られています。高校生のころに2年間、日本語を勉強していて、今も少々の言葉を話すことができると言います。
2013年にはユニクロと契約、その後のマスターズでは優勝し、ウェアにも注目が集まりました。また2014年の日本オープン直後にはフィアンセとともに京都旅行にも赴きました。
日本ツアーには2001年の中日クラウンズで初参戦。2007年の三井住友VISA太平洋マスターズでは3位に入っています。2014年から2016年、そして2018年と日本オープンにも4回出場。最高成績は2015年の7位タイです。
2018年の日本オープンは初日こそ好調だったものの通算6オーバーの50位という成績でした。「もっといいプレーをしてみんなを喜ばせることができればよかった。また来年もプレーできる機会があることを願っています」と、親しみある日本での再チャレンジを誓っていました。
出典:Golfweek
・夢に描いた優勝
アダム・スコットが6歳のころ、テレビで見ていたある場面がありました。それは、自国の英雄であるグレグ・ノーマンがプレーオフでラリー・マイズに敗れたシーンです。憧れていた選手の敗北に子供ながらショックを受けたと言います。
しかし同時に「僕が大人になったらプロになって、ノーマンの代わりにマスターズで勝つんだ」と心に刻みました。
それから26年。夢に見たマスターズ制覇のときがやってきました。子供のころの思いを叶えて、次に目指すのはキャリアグランドスラム。新たな目標に向けて挑んでいきます。
世界ランク推移
使用クラブ
■ドライバー Titleist TS3 ドライバー ロフト: 10.5°/シャフト: Graphite Design Tour AD IZ-7X |
■FW Titleist 915F フェアウェイウッド ロフト: 16.5°/シャフト: Fujikura Pro Tour Spec |
■アイアン Titleist 716 T-MB アイアン(3番)シャフト: KBS Tour (X-Flex) Titleist 680 アイアン(4番~9番)シャフト: KBS Tour (X-Flex) |
■ウェッジ Titleist Vokey SM7 ウェッジ ロフト: 48-08F、54-08F、60-06K/シャフト: True Temper Dynamic Gold Tour Issue X100 |
■パター Scotty Cameron Kombi (センターロングシャフト) Scotty Cameron 340 |
■ボール Titleist Pro V1 |
↓待ちに待った復活です!タイガー・ウッズのこれまでの歩みと取り戻した輝き、これまでの戦いを振り返ります。ぜひご覧ください。
↓ゴルフスイングの基本を徹底特集!ドライバーからウェッジまでクラブの使い方を詳しく解説しますので参考にしてみてください。
今回はオーストラリアが生んだ世界屈指のプロゴルファー、アダム・スコットにスポットを当てました。日本オープンに4回も出場したトッププロであり、テレビなどでも馴染みがあるファンの方も多いでしょう。
これからさらに円熟味を増したプレーとそのスイングで多くのファンを沸かせてくれそうです。マスターズでの勝利に続き、メジャーでの2勝目、3勝目に期待が高まります。今後もそのプレーから目が離せません。