PGAツアーで破格の活躍をしているダスティン・ジョンソン。その武器は何といってもモンスター級の飛距離です。190センチを超えるカラダと長い手足から繰り出すドライバーショットは他の追随を許しません。
そして飛ばしだけではなく、パッティングやショートゲームの正確性も彼の強さを支えています。
今回は、いま世界でもっとも強いプロゴルファーの一人、ダスティン・ジョンソンを徹底解剖します。爆発的な飛距離を生みながらも、精度抜群のスイングの秘訣とは?安定した強さの秘密は?彼の素顔に迫ります!
目次
プロフィール
名前:ダスティン・ジョンソン Dustin Johnson
ツアー通算:20勝(メジャー1勝)、7勝(欧州)
出身地:アメリカ合衆国・サウスカロライナ州・コロンビア
身長=193㎝ 体重=86㎏
生年月日=1984.06.22
生い立ち
サウスカロライナ州の州都・コロンビア生まれ。子供のころはリトルリーグでピッチャーとショートのポジションで活躍。バスケットボールの選手としても非凡な才能を発揮し、中学生の時点ですでにダンクシュートができたといいます。
アマチュア時代
アマチュア時代はサウスカロライナ州のコースタル・キャロライナ大学のゴルフ部に所属していました。2007年に「モンロー招待」「ノースイーストアマチュア」という2つの大会で優勝。ウォーカーカップアメリカ代表に選ばれました。
プロ~現在
2007年12月のPGAツアーQスクールで14位タイに入り、正式にツアーメンバーになりました。
2008年10月のターニング・ストーンリゾート選手権でツアー初優勝。2009年と2010年のAT&Tペブルビーチナショナルプロアマで優勝します。さらに2010年はBMWチャンピオンシップで頂点に。この年は440万ドル余りを稼ぎ出し、賞金ランキングでも4位に食い込みました。
2010年の全米オープン、全米プロではともに最終日を首位で迎えながら、優勝を逃しています。この全米プロでは最終ホールの2打目地点で、フェアウェイバンカーに見えない砂地でクラブを地面につけて打ち、ペナルティを取られてプレーオフに進出することができませんでした。目前に迫ったメジャー初優勝は幻となってしまいました。
ダスティン・ジョンソンはその後も毎年、PGAツアーでは優勝を果たし、11年連続で1位という記録を更新しています。
2016年には全米オープンを制して待望のメジャー初優勝。さらにこの年は賞金総額936万ドルを稼いで賞金ランキングでも1位となりました。近年は抜群の成績を収めており、賞金ランキングは2017年も3位となっています。
4大メジャーでの成績
メジャーに初挑戦したのが2008年の全米オープンでした。このときは48位タイの結果に終わっています。その後、2010年全米プロでは前述のようにプレーオフに進出できなかった「悲劇」を経験。
2011年には全英オープンでは首位のダレン・クラークに3打差の2位タイ。あと一歩のところで及びません。
ようやく栄冠を勝ち取ったのは初参戦から9年目の2016年のことです。ペンシルバニア州にあるオークモントCCで行われた全米オープンで2位に3打差をつける4アンダーでメジャー初優勝を遂げました。
スイングの特徴
ダスティン・ジョンソンのスイング特徴は、トップポジションでの左手首を内側に折り、甲の部分を空に向けていることです。ヘッドをシャット(フェースの部分が閉じる動き)にすることで、ボールを捕まえやすくしています。
シャットフェース
出典:ALBA
ダスティン・ジョンソンは、シャットフェースがスクエアです。左手甲を内側に折りながら、シャットをキープしたままクラブを振っています。特徴的なトップですが、フェース面のローテーションを抑えていて、現在の大型ヘッドのドライバーにあったスイングです。
スイングアークの大きさではなく、フェース面をスクエアに固定したまま、体の回転で打つスイングなので、飛んで曲がらないボールになります。
ドライバーでもハンドファースト
出典:ALBA
ダスティン・ジョンソンの特徴の左手甲の折れですが、この動きがハンドファーストのインパクトを作りだしています。ダウンスイングからずっと左手の甲がターゲットの方を向いています。この時、ダスティン・ジョンソンは、アームローテーションをしてヘッドを返している動きはしていません。
日本の選手は、フェースローテーションや手首を返して打ちますが、PGAツアーの選手は手首を返す動きはしません。左手甲を真っ直ぐ出していく動きは、フェースをスクエアに保ち続けることができ、長いインパクトゾーンを作り出しています。
ヒップターン
出典:ALBA
シャットフェースで腕を少しでも返す動きをするとヘッドがかぶって、ひっかけてしまいます。ダスティン・ジョンソンは、それを防ぐために、下半身の左のお尻を後方に引いて体を思いきり左に回しています。
お尻を引くことで左足に体重が乗りやすく、そのまま体を回転させて、クラブヘッドをハンドファーストのように押し出して、フェース面を変えない打ち方が可能になります。
ここが世界トップクラス
飛距離は世界でもトップクラスです。2018年1月には433ヤードパー4のティーショットを15センチに寄せる驚異の超ロングドライブを見せて世界中を驚かせました。
ダスティン・ジョンソンのボール位置は、左足かかと線上です。左手は前述していますが、バックスイングからトップにかけて、甲を内側に折って空に向けます。右手はお盆を手の平で持つように手首を甲側に折ります。
もちろんフェースは空を向きます。右肘は脇を締めて浮かせないようにしてヘッドはターゲットの方向に向けます。
そして、切り返しのあとは、両手はトップの角度を維持したまま、クラブを降ろしてきて、左腰を引きながら回転させます。そうすることで、フェース面を操作することなく、軌道もインサイドインになり、理想のインパクトを迎えることができます。
ダスティン・ジョンソンのスイングは、フェースを返さないアプローチの延長線上と考えるとイメージしやすいと思います。
強さの秘密
クラブの番手別飛距離をまとめました。7番アイアンでも200ヤード、ピッチングウェッジでなんと158ヤード。しかもこれが「平均飛距離」です。短い番手でグリーンを攻められるので他ゴルファーよりボールを止めやすい状況を作れます。
数字で見るダスティンの強さ
平均ストローク数 | 68.60 | 1位 |
平均パット数 | 1.69 | 2位 |
フェアウェイキープ率 | 58.08 | 148位 |
トップ10回数 | 8 | 1位T |
ドライバー平均飛距離 | 310.8 | 10位T |
パーオン率 | 69.86 | 23位T |
イーグル率 | 72 | 1位T |
パー5バーディー率 | 55.68 | 1位T |
パー4バーディー率 | 21.87 | 1位T |
パー3バーディー率 | 17.92 | 12位T |
2018年の平均ストローク数は68.60でPGAツアーの中で首位。平均飛距離は310ヤードで全体の10位です。
驚きなのがフェアウェイキープ率が58%で148位とまったく良くない数字にもかかわらず、トップ10入りの回数、イーグルやバーディーの奪取率は1位。この数字には平均パット数が1.69(2位)が大きく関係しています。
パー4、パー5に強いことから、ティーショットで圧倒的な飛距離をかせぎ、多少、曲げたとしてもしっかりリカバリーしてピンそばにつけてくる。飛ばすだけではなく、寄せて入れる強いゴルフを実現しているのです。グリーン周りの技術が素晴らしいことのあらw
プライベート
■家族
2013年の夏、アイスホッケーの神様と称されるウェイン・グレツキーの娘であるポーリナ・グレツキーと婚約。2人の息子がいます。
■初メジャーへの壁
長男が生まれた2015年。24回目のメジャー挑戦となる4月のマスターズでは6位に入り、好調を印象付けました。6月の全米オープンではパー5で2オン。イーグルを取れば逆転優勝、バーディーでもプレーオフの状況だったにもかかわらず無念の3パットで敗北しました。
翌2016年の全米オープン。メジャーで惜敗を続けてきたダスティン・ジョンソン、29回目のメジャー挑戦です。しかしここでもルールをめぐる事件が起こります。最終日の5番ホールのグリーン、ボールが動いたのか、それとも動かしたのかの判断が揺れ、全米ゴルフ協会がホールアウト後に1打罰を課すかもしれないとダスティン・ジョンソンに告げます。
優勝争いというナーバスな状況、しかも惜敗が続いたメジャーのタイトルです。それでも彼は淡々とプレーを続け2位に4打差でホールアウト。たとえ1打罰が加えられたとしても文句なし。家族とともに堂々のメジャー初優勝を勝ち取ったのです。
世界ランク推移
使用ゴルフクラブ
■ドライバー:テーラーメイド M4 ドライバー (10.5度) 藤倉ゴム工業 スピーダーエボリューション661X |
■FW:テーラーメイド M4 フェアウェイウッド (3番 16.5度) |
■アイアン:テーラーメイド P730 DJプロトアイアン(3番-PW) |
■ウェッジ:テーラーメイド ミルド グラインド ウェッジ (52度、60度)、テーラーメイド ミルドグラインド ハイトゥウェッジ(64度) |
■パター:テーラーメイド スパイダー ツアー ブラック |
■ボール:テーラーメイド TP5x ボール |
スポンサー
テーラーメイド |
アディダス |
Royal Bank of Canada |
HUBLOT |
NEW ERA |
BODYARMOR |
NETJETS |
ダスティン・ジョンソンは、いま世界でもっとも強いプレーヤーといってもいいでしょう。
強靭な体、スイングスピード、ショットの精度、さらに平均パット数1.69というパターの正確さ(PGAツアー2位)、どれをとってもズバ抜けています。彼を止める要素がなかなか見当たらない程、完成されたゴルファーになりつつあります。
メジャーで勝てなかった日々ももう過去のこと。これからのキャリアではグランドスラムも狙える実力を十二分に備えている、規格外のゴルファー、ダスティン・ジョンソンのスーパープレーからこれからも目が離せません。