出典:LPGA
アマチュア時代の2016年に日本女子オープンで逆転初優勝、圧巻のプレーで瞬く間にゴルフ界のスターとなった畑岡奈紗。158センチと決して大柄ではないものの、ドライバーの飛距離は250ヤードを越え、強くたくましいゴルフでギャラリーを魅了します。
畑岡奈紗は早くからアメリカの舞台への挑戦と勝利を目標にしてきました。2017年、1年間の挑戦と経験を糧に、世界ランキングでもさらなる上位をうかがっています。
日本だけではなく世界でも屈指のプロゴルファーへと成長を続ける気鋭のプロゴルファー。これまでの歩みとその強さの秘訣に迫ります。
プロフィール
出典:日本女子プロゴルフ協会
名前 畑岡奈紗 Nasa Hataoka |
身長 158センチ |
血液型 A型 |
生年月日 1999.01.13 |
生い立ち
出典:GDO
茨城県笠間市出身。名前の由来はアメリカ航空宇宙局・NASAで「前人未到のことをするように」という思いを込めたもの。アメリカでも「覚えやすい名前」と評判だといいます。
小学3年生のときに野球チームに加入、二塁手を務めていました。地元のゴルフ場に勤める母の影響で11歳のときにゴルフを始めます。
父が陸上で走高跳をしていた影響で、中学校に進学後はゴルフを続けながら陸上部に所属しました。陸上部時代は200メートルで県大会7位に入っています。
中学校2年のときに中嶋常幸が主宰するヒルズゴルフ・トミーアカデミーに入門しました。
アマチュア時代
出典:日本女子プロゴルフ協会
2014年8月に行われた日本ジュニアゴルフ選手権競技(女子15歳~17歳の部)では2位。2日目まで通算11アンダーとして2位に6打差をつけ独走していましたが、最終日は3オーバー。2位スタートだった同い年の勝みなみ(鹿児島高校2年・当時)に逆転優勝をされる結果となりました。
2015年7月にはIMGA世界ジュニアゴルフ選手権で個人および団体優勝を遂げています。
同年10月には武蔵丘GCで開催された樋口久子PONTAレディスマンデートーナメントを勝ち上がり、初日4アンダーでトップに躍り出ます。2日目も首位を守りましたが最終日に1オーバーとスコアを伸ばせず。7位タイの成績に終わったものの、初出場の大会でローアマチュアに輝きました。
2016年のIMGA世界ジュニアゴルフ選手権では個人・団体ともに優勝し2連覇。
同年、第49回日本女子オープンに出場します。最終日、首位に4打差の1アンダーでスタートした畑岡奈紗は前半を1バーディー、1オーバーで回り、後半は4つのバーディーを奪って68のスコア。トップで並んでいた堀琴音を退け、プロツアー初優勝、メジャー初優勝を飾りました。
この大会でのアマチュア優勝は史上初。17歳263日での優勝は、それまで宮里藍が持っていた最年少の優勝記録(20歳105日)を大幅に更新しました。日本女子プロゴルフツアーで1989年に平瀬真由美が保持していた公式戦最年少記録も更新する快挙となりました。
プロ時代
出典:GDO
・2016年
2016年10月10日にプロ転向を表明。「2年以内にアメリカツアー優勝、5年以内に海外メジャーを勝ちたい。東京五輪でも金メダルを取りたい」と抱負を述べました。
同年11月の伊藤園レディスゴルフでプロデビュー。スコアは通算2アンダーで26位タイとなりました。
この年、かねてから目標としてきたアメリカツアー挑戦のために、出場権をかけるQTに参戦。ファイナルQTで最終日4ボギー1ダブルボギーの内容でしたが、通算5アンダーの14位タイで翌年のアメリカツアー出場権を獲得します。17歳でのアメリカツアー出場権獲得は日本人史上最年少でした。
・2017年
2017年はアメリカツアーに参戦。しかし新天地でのゴルフは苦戦が続き、予選落ちが続くことも。アメリカツアー初年度はつらく苦しい経験となりました。
日本に戻って9月に出場したミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントでは初日2オーバースタートだったものの、2日目8アンダー、最終日7アンダーで通算13アンダー。2位に4打差をつけてプロ転向後初優勝を飾りました。
翌週に行われた日本オープンでは最終日、単独首位の13アンダーでスタート、8バーディー1ボギーの65のスコアで2位に8打差をつけて前年に続く大会2連覇を達成しました。20アンダーは大会最少スコア。2連覇は樋口久子以来の40年ぶり2度目の記録となりました。
・2018年
2018年もアメリカを主戦場に戦っています。4月のLPGAメディヒール選手権では7アンダーの7位、5月のキングスミル選手権では2位タイに入っています。
6月の全米女子オープンでは初出場で通算イーブンパーの10位に。日本人として初めて、同大会で10代でのトップ10入りを果たしました。さらに同月に行われたウォルマートNWアーカンソー選手権では通算21アンダーでアメリカツアー初優勝を飾りました。
海外女子メジャーの第3戦KPMG女子PGA選手権ではプレーオフまで争ったものの、2位タイに終わりました。
スイングの特徴
畑岡奈紗は一般的な女子プロよりも速い46~47m/sのヘッドスピードを誇っており、2018年の平均飛距離は262ヤード。飛ばし屋も集まるアメリカツアーにあって、26位と比較的、上位に入っています。
下半身は低い位置に重心を保ち、左足に体重を移しながら飛び上がるようにしてクラブを振りぬきます。そのときに脇をしめて腕をコンパクトにたたんでスイング。ヘッドを走らせて大きなパワーをインパクトの瞬間、ボールに伝えて飛距離につなげています。
ここが世界トップクラス
※サンドセーブ率とは=グリーン周りのバンカーから2打以内にカップインする確率。
2017年はアメリカツアーに本格参戦したものの、11回もの予選落ちと苦い経験も味わいました。しかしそうした経験を確実に生かして自身の成長につなげています。
アメリカのトーナメントデータを見ると、飛距離は昨年の251ヤードに比べて11ヤードあまりも伸び262ヤード。フェアウェイキープ率も10%近く上がっています。サンドセーブ率も大きく向上、たとえバンカーに入れたとしても確かなリカバリーをしていることがわかります。
それらの結果として、平均スコアが1ラウンドあたり2.3も改善、今年のアメリカツアーの成績にもつながっています。
初めての経験、そして環境で臨んだアメリカツアーでしたが、その貴重な時間を自身の糧に変え、数字でも明らかな成長を1年で見せています。
強さの秘密
出典:LPGA
日本ゴルフ協会が2020年と2024年のオリンピックに向けた選手強化を行う「ルーキープログラム」の対象に畑岡奈紗は選ばれています。強化プログラムの中にはフィジカルトレーニングも導入されており、以前は40キロだったスクワットのバーベルが、50キロから60キロほどになっていたといいます。
トーナメントの中でもストレッチをしたり飛び跳ねる動きもよく見せている畑岡奈紗。専門的なトレーニングや日々の取り組みを通じて、力強いスイングを支える体幹や筋力もさらに成長を続けています。
性格と人柄
茨城県内の公立中学校の恩師が畑岡奈紗の普段の顔について証言をしています。
陸上部の顧問だった関裕一教諭は当時、野球や陸上にも取り組んでいたのが彼女の強みだとしています。そして「明るく前向きな性格は変わっていない」と振り返っています。
また、中学3年生のときに担任を務めていた結解涼香教諭は「彼女の良さは礼儀正しいところ」と話しています。2017年日本女子オープンで2連覇したあと、応援してくれたお礼として、中学校に胡蝶蘭が送られたとのこと。それも以前と変わらない実直な性格の表れでもあるのでしょう。
世界ランク推移
使用ゴルフクラブ
出典:日本女子プロゴルフ協会
■ドライバー:ダンロップ スリクソン Z765 ドライバー / UST マミヤ ATTAS G7 (硬さ6S) |
■FW:ダンロップ スリクソン Z F65 フェアウェイウッド |
■UT:ダンロップ スリクソン Z U65 ユーティリティ (4番)、ダンロップ スリクソン Z H45 ハイブリッドユーティリティ (3番19度) |
■アイアン:ダンロップ スリクソン Z745 アイアン (5番~P) |
■ウェッジ:クリーブランド 588 RTX 2.0 プレシジョン フォージド ウェッジ (50度、54度、58度) |
■パター:ピン スコッツデールTR パター PIPER C |
■ボール:ダンロップ スリクソン Zスター XV ボール |
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森ビル=所属契約 |
ダンロップ=用具契約(クラブ・ボール) |
山新 |
19歳にして世界でもトップクラスで活躍している畑岡奈紗。力強いドライバーショットからパッティングまで、すべてのスイングに注目です。
勝負強さも抜群で、近い将来のメジャータイトル獲得もほぼ間違いないといっても過言ではないほどの強さです。これから日本の女子ゴルフ界を背負って立つ存在となり、さらなる進化と成長を遂げていくことは間違いありません。