ヘッドスピードを上げようとして思い切り振ったのに、全然早く振れない!
飛距離を上げたいのに非力だからヘッドスピードが上がらない…
このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
実は、ヘッドスピードを上げるために力いっぱい振ってもヘッドスピードが上がるわけではありません。理由は、力んだバランスの悪いフォームではパワーを生み出すことができないから。
クラブを速く振るためのポイントは、クラブの性能を最大限活かした体の使い方をすること。クラブに仕事をさせることができれば、自然とヘッドが走って飛距離が出るようになります。
そこでこの記事では、クラブの性能を最大限活かしたヘッドスピードを上げる7つの方法とおすすめ練習ドリルをご紹介します。
力に頼らずクラブを最大限に活かしたスイングを手に入れることで、軽く振ってもヘッドが走るようになります。ぜひ参考にしてみてください!
目次
ヘッドスピードと飛距離の関係性
ゴルフのヘッドスピード(HS)とはボールをインパクトするときのヘッドの速さを言います。単位は「m/s」と表し、1秒間に何メートル動くかを示しています。
一般的にゴルフではヘッドスピードが高くなるほど、遠くまで飛ばすことが可能で、「ヘッドスピード × 5.5」という式でおおよその飛距離を求めることができます。
たとえばドライバーで40m/sだった場合、5.5をかけると220。おおよそ、220ヤードを飛ばすことができる、ということになります。
ミート率やボールの初速によって飛距離は変わるので、あくまでも大体の計算方法として活用できます。
ヘッドスピードの平均はどのくらい?
一般の男性ゴルファーの場合はだいたい33から43くらい、平均は40m/sと言われています。女性の場合は平均で33m/sくらいです。
男子のプロゴルファーの場合は48m/s以上で、アメリカのPGAツアーに出場している選手は平均でも50以上が多くなっています。日本から参戦して活躍している松山英樹選手は、平均すると51~52m/sという数字になっています。
↓アマチュアゴルファーの平均飛距離を番手別で知るならこちらから
なぜ?思い切り振っても飛ばないメカニズム
自分で思い切り腕を振っても、かえってヘッドスピードが落ちてしまう原因となります。
体にガチガチに力を入れてムチを振る動きをイメージしてみてください。ムチはしならず体ばかりが動いているのが想像できると思います。
飛距離を出す=クラブに仕事をさせる=ヘッドを走らせる、といった流れがもっとも効率よくボールを飛ばすコツです。
もちろんスイングするのは自分の体ですが、自分だけが頑張り過ぎないということもゴルフスイングにおいては重要なポイントです。
ヘッドスピードを上げる7つの方法
ヘッドスピードを上げようとして無理やり振ることを続けていると、手打ちなどのミスやケガの原因につながってしまいます。
ヘッドスピードを効率よく上げるために、打ち方のコツを押さえて練習に取り組みましょう。
ここではヘッドスピードを上げるための7つの㊙テクニックをご紹介します。
グリップ|3割でOK!緩く握ればヘッドが走る
グリップ強く握って腕の力を使うとクラブの速度は上がりません。ギュッと握るときの3割から4割程度の力で持ちましょう。
腕を速く振るのではなく、クラブの速さを上げることが目的です。鞭のように腕を使って身体全体で大きく振っていきましょう。
↓すべてのミスはグリップが原因と言われます!正しい握り方をチェック
テイクバック|腰・肩を十分回そう
ヘッドスピードを上げて飛ばすためには、バックスイングでパワーを溜める必要があります。手でひょいと上げて、上半身だけで打ってもあまり飛びません。
ポイントは、胸と肩をしっかり回すこと。腰45度、肩90度回転させましょう。
ゴルフ初心者の多くは肩(上半身)だけを回そうとして、うまく回転できないと感じているようです。
人体の構造上、下半身もある程度回さなければ肩は十分回りません。腰45度、肩90度、回せると、上半身と下半身に「ねじれ」が生まれ強いパワーを生み出すことができます。
肩を回し過ぎると、上半身がターゲット方向に倒れてぎっこんばったんスイングになるので注意してください。左肩がアゴの真下に来るイメージで回しましょう。
トップ|あなただけの“間”を作ろう
ヘッドスピードを上げるには、トップで一瞬止まるイメージで「間」を作りましょう。トップで力が溜まる前に切り替えしてしまうと、クラブの力を活かしきれずに腕の力だけのスイングになります。
意図的に少し止まるくらいの感覚で振ることで上半身下半身に捻転差が生まれて、最大限のパワーが引き出せます。
自分がもっともパワーが溜まっている”間”を作ることで、エネルギーを効果的に溜めて振り下ろすことでヘッドスピードが上がるでしょう。
切り返し|クラブが落ちる瞬間に力を加える
少ない力で最大限ヘッドスピードを上げるためにはクラブの運動エネルギーに逆らわないように力を加えていく必要があります。
スイングを振り子に例える場合、クラブが下に落ちる瞬間に力を加えることで振り子はさらに加速します。
もし振り子が一番上まで上がりきっていないときに、力を加えると反発しあってスピードは減速します。
トップからクラブが落ちる瞬間にグッ!!と力を入れることで少ない力でも最大の加速を生み出すことができるでしょう。
ダウンスイング|体の右側で音を鳴らす
ヘッドスピードを上げつつ、方向性を安定させるには「体の右側で振る」ことが大事なポイントです。
体の右側をしっかり振ることで、切り返しからダウンスイング、インパクトまでのスイング軌道が安定します。
ゴルフは「体の左側で振る」といった言われ方もされますが、実際は体の左側はボールに当たった後のことなのでそれほど意識する必要はありません。
体の右側で音を鳴らすコツは、ダウンスイングでグリップエンドから振り下ろすことです。
グリップエンドをボールに向けるように振ることで、体が左側に流れるのを防いで右側で強く振ることができます。
インパクト|ビハインド・ザ・ボール
ビハインド・ザ・ボールとは、インパクトのときに頭を右側に残すことです。体が突っ込まずクラブを走らせることができます。
インパクトの瞬間、ゴルフボールより左に頭が出てしまうと身体がスウェーしてしまいます。スウェーするとスイングが加速しません。
ビハインド・ザ・ボールを作るには、ダウンスイングで右側から打っていくイメージを持ちます。左足に体重が乗って壁ができるので、身体も流れずに頭を右側に残すことができます。
フォロースルー|振り抜くスペースを作る
飛ばせる人は皆、フォロースルーで左に振り抜けるゴルファーです。しっかり左に振り抜くことでフェースローテーションもスムーズになり球を捕まえることができます。
左へ振り抜くスイングを身に付けるために、強制的に左に振り抜ける状況を作りましょう。ポイントとしては左足を少しオープンにしてください。
左足をオープンにすることで、体を左に回しやすくなります。また、クラブが実際に振り抜けるスペースもできます。体とクラブ、両方が左に行きやすくすることで自然と振り抜きがうまくいくでしょう。
↓HSを上げるにはハンドファーストも重要!7つの習得ポイントを紹介
ヘッドスピードUPおすすめ練習ドリル7選
重い・軽いを交互に振る
スイングスピードを効率的に上げるには、ドライバーよりも重いものと軽いものを交互に振る練習ドリルがおすすめです。
軽いものは「速く振る」というイメージを体に覚えさせるのに有効。重いものは全身の力を使って「強く振る」ということを体得することができます。
ゴルフ専用の練習バットなどを使うと効果的ですが、ない場合はウェッジなどのクラブを数本持って素振りしても効果的があります。ドライバーを振るときのように、ゆったり大きく振ることを心掛けてください。
軽い棒であれば、アライメントスティックでもなんでもかまいません。ビュン!と思い切り振りましょう。軽くて振りやすい分、体が流れたりブレたりしないように注意してください。
下半身を固定!上半身だけで振る
下半身を使わないで上半身だけ振る練習ドリルもヘッドスピードアップに効果的です。腰を回さず腕だけでスイングしてみましょう。
スイング時には腕のチカラを抜ききった状態でぐにゃぐにゃ振るのがおすすめです。クラブの重みを活かしてヘッドが走るスイングができるでしょう。
腕を脱力したスイングのイメージができたら、腰の回転も徐々につけて通常のスイングに切り替えてみてください。
小指を外して強制的に脱力する
力まないように注意しても、どうしても力んでしまう…
そんな方は、小指を外してクラブを握ってみてください。右打ちの方は左手の小指、左打ちの方は右手の小指を外してグリップしてみましょう。
人体の構造上、拳をグーにして握ると力入りますが、小指を立てて握るだけで全然力が入らなくなります。その結果、力が入らない状態でスイングすることができ、ヘッドが走る感覚を習得できます。
小指を外すだけで効果が出るので、ラウンド中に力みが出ていると感じたときに実践していただくことも可能です。
インパクトで右手を離す
ヘッドを走らせる感覚を掴むために、あえてスイングを途中で止めてみてください。
まずは、力を抜いて軽いスイングをしながら手元を止めてみましょう。ヘッドが加速しながらスピードを持って手元を追い越していくことが分かると思います。
自分が無駄に動かないことで、ヘッドが走る動きが分かると思います。この動きがヘッドを走らせるということです。
画像のように切り返しからダウンスイングの序盤のエリアを思い切り振ってみてください。
あとは惰性で振るだけでOKです。落下のスピードなども加わりヘッドがグンと加速して手元を追い抜いていきます。
フォローでは右手を離しましょう。余計な力が入らないことでヘッドを効率よく走らせることができます。
慣れてきたら、右手を戻して同じイメージでスイングしてみてください。
自分の力で自分だけが動いてしまう効率の悪いスイングから、クラブの力を最大限生かす効率の良いスイングを習得することができます。
■トップで止まればパワーが溜まる
テイクバックでクラブを上げた後、トップで一時停止してから打ってみてください。
ヘッドスピードが上がらない多くの原因は、テイクバックで上がっている最中に切り返しをしてしまうことです。この状態だと力が反発してしまい、エネルギーロスになってしまいます。
バックスイングで目標方向より後ろ側に加わっている力をゼロにすることで、トップで溜めたパワーを最大限活かしたスイングができるようになるでしょう。
トップで止まっているつもりでも意外と動き続けていることがあるので、動画を撮影しながら練習をすると効果的です。
また注意点としてトップで一時停止後、スピードを出そうとしてボールを打ちにいくことや、急いで打つことは避けましょう。切り返し~フィニッシュまでは普段通りのスイングを意識して練習してみてください。
リミッターを外そう!一誠プレス
松本一誠プロがおすすめする練習法「一誠プレス」は自然な重心移動を可能にして、スムーズに振り切るための練習法です。
飛距離が出ないゴルファーの多くは、重心が止まったままスイングしたり、力みによって上から叩き込んでしまって飛距離が出ません。
一誠プレスで自然と重心を柔軟に移動させることで、筋肉は柔らかく速く動くことができます。
①通常のアドレスから少し右足を引いてクローズスタンスにしてみてください。
度合いは人それぞれですが、まずは大げさに引いてみてもOKです。
②右足かかとを上げます。左足はそのままです。
この時膝が前に出過ぎないようにしましょう。あくまでかかとを上げるだけです。
③テイクバックと一緒に右足かかとを下げて、左足かかとを上げます。左右のかかとをリズムよく入れ替えてください。
④ダウンスイングと同時に左かかとをつけてスイングします。
左右のかかとを上げてから振ることで、意識しなくても重心が勝手に動いて強いパワーを生み出すことができます。
いきなりボールを打つと感覚が掴みにくいので、まずは素振りから試してみてください。
左右のかかとの上げ下げをリズムよく行ってスイングしましょう。上半身は脱力して足振りに振られるようにスイングしてみてください。
ケガ防止!準備運動を忘れずに
練習やラウンド前などにいきなりスイングをしてしまうと、ケガに繋がってしまう可能性があります。そこで、ケガを防止しつつヘッドスピードが上がる準備運動をご紹介します。
①クラブを横向きに持つ
体の力感をとってヘッドを走らせる感覚を手に入れるためのおすすめ練習ドリルをご紹介します。
まずクラブを横にして持ち、左手はグリップ側、右手にヘッドが来るようにしましょう。右手の手のひらはフェースの向きが一緒になるようにしてください。
この状態からいつも通りのアドレスをします。
②小さく横に振る
アドレスの形が出来たらそのまま小さくでいいのでクラブを横にゆすってみましょう。スイング軌道を描くように揺らせていればOKです。
注意するポイントは、クラブを横に振っているとき体も一緒に左右へ揺れないようにしましょう。体の軸をまっすぐ保ったままクラブを振っていくことがポイントです。
③振り幅を大きくする
体の軸を感じられるようになったら、だんだん勢いをつけて振り幅を大きくしていきましょう。このときも体が左右に揺れていないかチェックしてください。
そうするとヘッドが体に同調している状態を感じることが出来ます。
そしてその振り幅が実際の理想的なスイング幅にもなるので、スイングする際もこの感覚を持ち続けると安定したボールを打てるようになります。
④重要!右手をグリップ側へ移動させる
振り幅を大きくしてヘッドと体が同調していることがわかったら、次はその振り幅のまま右手をひと振りごとに左手に向かって近づけていきましょう。
そうするとヘッド側を持っていた右手が左手に近づくにつれ、ヘッドの重みを感じながら自然と落ちていく感覚を習得することができます。
練習前やラウンド前のドリルとしてぜひ実践し、ヘッドを走らせる良いイメージを持ってスイングしてみてください。
↓練習場でゴルフが倍速で上手くなるコツをご紹介してます!詳しくはこちら
番外編|HSを上げるその他の方法
筋トレでパワーアップ
ヘッドスピードが50m/s以上出るプロゴルファーは、やはり純粋に筋トレをしています。筋力を上げると少ない力でも速く打てるようになります。
中でも、「背中」、「足」、「体幹」はヘッドスピードを上げるために必要な筋肉なので、この3つを中心に鍛えていくことがおすすめ。
また、筋トレと同時に肩甲骨や股関節周りの筋肉を柔らかくすると、ゴルフに最も重要である「しなやかな筋肉」をつけることができるので、柔軟運動も合わせて行うことが効果的です。
クラブを最適化する
現在のクラブで少し振りにくいと感じている方は、クラブを軽量化するのもおすすめです。軽量化といっても、軽すぎると手打ちになりやすく逆にヘッドスピードが落ちてしまうので、心地よい重みを感じる程度でクラブを選ぶことがポイントです。
また、シャフトの硬さを調整するのも効果的です。
シャフトの硬さは、L(レディース)、A(アベレージ)、R(レギュラー)、SR(スティッフレギュラー)。S(スティッフ)、X(エキストラ)の6種類があります。
現在のヘッドスピードにあったシャフトの硬さにしていただくことをおすすめしていますが、たとえ同じ「S」でもモデルによって硬さが異なるので注意が必要です。
レビューやシャフトフィッティングなどを活用してご自分に合ったシャフトにしてみてください。
ゴルフスイングにおいてヘッドスピードを上げる7つの㊙テクニックと練習ドリルをご紹介しました。
ヘッドスピードを上げるためには、可能な限り脱力をしてクラブの重みを活かしたスイングを意識しましょう。最大スピードで振れるようになれば、自然と飛距離も伸びてスコアアップに近づきます。
ご紹介した練習ドリルは、ラウンド中でも速攻効果が出るものもあるので、ぜひ実践してみてください。