出典:PGATOUR.com
PGA通算5勝。メジャー大会でのトップ10入りも常連といっても過言ではなく、いま日本最強のゴルファーと称されるのが松山英樹プロです。
アマチュア時代から群を抜く活躍を見せ、今や日本人初のメジャータイトルにもっとも近い存在です。そんな松山英樹のこれまでの歩みと、スイングの特徴や強さの秘訣、さらには人物像まで総まとめ。強さの裏にある隠された素顔を徹底調査してみました。
目次
プロフィール
出典:PGA.COM
松山英樹 Hideki Matsuyama(26歳)
身長=180センチ 体重=90キロ
血液型=B型
生年月日=1992.02.25
生い立ち
愛媛県松山市出身。松山英樹選手は4歳のころに父の影響でゴルフを始めました。6歳のときに愛媛県松山市内の奥道後ゴルフクラブで初ラウンドを経験、スコアは136でした。小学生のころは四国ジュニアの小学生の部に出場、ゴルフのスキルを上げていきました。
中学2年のときに地元の公立高校からゴルフ部のある明徳義塾中学に転校。2008年に「全国高等学校ゴルフ選手権大会」で優勝を遂げます。翌年の「アジアゴルフチーム選手権」でも頂点に立ちました。このころから280ヤードのドライバー飛距離があり、大きな注目を集めていました。
アマチュア時代
2010年に東北福祉大学に進学。同年に日本で開催されたアジアアマチュア選手権で優勝、翌年のマスターズ出場権を獲得。さらに同年の日本オープンではプロの強豪と競り合った末に3位に入り、ローアマチュアを獲得しています。
2011年のマスターズでは1アンダーで27位。日本人初となるローアマチュアも獲得。さらに同年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でも優勝。倉本昌弘、石川に続き3人目のアマでのツアー制覇を達成しました。
プロ時代~国内男子ツアー~
2013年4月2日にプロ転向を表明。初戦となった「東建ホームメイトカップ」で10位タイ、2戦目の「つるやオープン」では早くも優勝を飾ります。
「中日クラウンズ」では単独2位、「日本プロゴルフ選手権」で2位タイに。続く「ダイヤモンドカップ」でも優勝し、プロ転向後5戦で優勝が2回、2位が2回という驚異の結果を残しました。
「フジサンケイクラシック」、「カシオワールドオープンゴルフトーナメント」でも頂点に立ち、初年度はツアー4勝。この年の賞金総額は2億を超え、尾崎将司、伊沢利光に次いで3人目の2億円プレーヤーとなりました。さらに史上初めてルーキーイヤーでの賞金王を獲得しました。
さらにこの年は海外メジャーでも全米オープン10位、全英オープン6位と、どちらも日本人最高の成績を収めています。
2014年3月には東北福祉大学卒業。以後、アメリカツアーに本格参戦することになりました。
プロ時代~米国男子ツアー~
2014年に行われた「メモリアル・トーナメント」でプレーオフの末に優勝。PGAツアーの優勝は日本人としては6人目となる快挙を達成。
2015シーズンはPGAツアーでトップ5に6回入るなど、健闘を見せましたが優勝はなくPGA賞金ランキングは15位の成績でした。
2016シーズンは2016年2月に行われた「フェニックスオープン」でリッキー・ファウラーとのプレーオフを競り勝ち、PGAツアー2勝目を挙げました。同年10月の「日本オープン」では通算5アンダーで優勝、国内メジャーを初制覇。
2017年2月の「フェニックスオープン」では、ウェブ・シンプソンとのプレーオフを制して前年に続いて2連覇、PGAツアーの2勝目を挙げます。8月に行われた「ブリヂストン招待選手権」では世界ゴルフ選手権2勝目、PGAツアー5勝目を手にしました。
メジャーでの戦績
※DNPは不参加、CUTは予選落ち、2011年のマスターズではローアマチュア獲得。
メジャーの最高成績は2017年の全米オープンでの2位タイ。最終日、14位タイからスタートし8バーディ、2ボギーとスコアを伸ばしましたが、2位からスタートしたアメリカのブルックス・ケプカに4打及びませんでした。
マスターズでは、アマチュア時代の2011年に27位タイに入ってローアマチュアを獲得。2015年には日本人歴代最少ストロークとなる11アンダーの成績で単独5位に入りました。
全英オープンには2013年から連続出場。2013年、スコットランドのミュアフィールドで行われた同大会では最終日、3オーバー11位タイでスタート、首位のP・ミケルソンと5打差の6位タイの成績となりました。
同じく全米プロには2013年から連続で出場。2016年には通算9アンダーで4位タイと同大会で最高の成績を収め、2017年には首位と3打差の5位タイの結果も残しています。
松山英樹 スイングの特徴
松山英樹選手のドライバーの平均飛距離は303ヤード。その最大の特徴は上半身の強いひねりです。
バックスイングから上半身を強くひねっていますが、右足が一切外に逃げないのが松山英樹のスイングの最大の特徴です。この強靭な下半身がショットの安定、スイングの強さを生んでいます。
手首でのタメも素晴らしく、前身の大きな筋肉によって作られた力を余すところなくインパクトにつなげることで、世界のトッププロとも戦える爆発的な力を生み出しています。
↓↓↓松山英樹のドライバースイング、圧倒的な飛距離・精度を出す秘訣とは?
↓↓↓アイアンの精度も世界でトップクラス。前傾姿勢の維持、フィニッシュの太ももの位置など参考になる箇所がたくさんあります。
ここが世界トップクラス!
アメリカの米国男子ツアーには「ショットリンク」というシステムがあり、レーザー計測器によって選手たちのショットを正確に記録しています。
その中でも150ヤードから175ヤード、175ヤードから200ヤード、200ヤード以上のショットで、ツアー全体の上位に入っているのが松山英樹の特筆すべき点です。
<150ヤード~175ヤード> PGAツアー内5位/平均残り距離24.3フィート(約7.4メートル) |
<175ヤード~200ヤード> PGAツアー内8位/平均残り距離29.9フィート(約9.1メートル) |
<200ヤード以上> PGAツアー内5位/平均残り距離44.1フィート(約13.4メートル) |
ドライバーでも飛ばせるほうですが、米国男子ツアーには松山英樹を上回る選手も数多くいます。コースで2打目以降、距離のあるところからでも正確なショットを打てること、これが好成績につながっています。
(ShotLink®2017年シーズンのデータを引用)
松山英樹 強さの秘密
恩師2人の証言です。松山英樹が5年間を過ごした高知・明徳義塾でゴルフ部監督を務めていた高橋章夫氏。中高生のころから、他の生徒とは少し違っているところがあったと言います。
選手は普通、大会に向けて練習を重ねてコンディションも調整し、いざ本番で出た結果に満足したり、反省したりします。「彼は試合以上に充実して楽しく感じているのは練習中のような気がします。大会に出ても練習をするための課題を探している。たとえばマスターズに出ていい成績でもパターがダメ、ショットがダメと話しているんです。だからまだまだ進化していくように思えてならない」。
東北福祉大学のゴルフ部・阿部靖彦監督は大学3年のときに全米アマに出場した松山英樹のエピソードを語っています。
「全米アマでは予選落ちを喫しました。どこか気分転換で観光にでもいくか、と水を向けると『ゴルフ場に行きます』と答えたんです。そしてコースでアプローチとパッティングの練習を黙々と3時間ほど、やっていました。松山英樹の強さはそういう気持ちの部分。人一番、ゴルフが好きだし向上心を持っています」。
性格と人柄
■普段
マスターズの記者会見で「趣味は?」と聞かれて「ゴルフです」と答えたことがありました。仕事としてのゴルフではなく、リラックスした状態でのプレーが好きだとのこと。それは「癒し」でもあり、もっといいプレーを探すための大きなヒントにもなると話しています。
ゴルフ以外のスポーツでいうと、見るのもするのも好きなのは「野球」。特に投げるのが好きでキャッチボールをするときもかなり本気で投げるのだといいます。
東北福祉大学の阿部監督によると性格は「天然。のんびりした性格で忘れ物をしたりすることもある」とのことです。スポーツ紙では食事の注文をした5分後に何を注文したか忘れていたというエピソードも紹介されています。
■試合中
じっくりと時間をかけるというのが松山英樹のプレースタイル。自分のリズム、自分のペースでやり遂げます。目の前の一打一打に集中しているあまり、バーディを取り続けても周りから指摘されるまで「4連続バーディ」だったことに気付いていなかったというエピソードもあります。
アメリカのゴルフチャンネルでは「見ている者の判断を誤らせる」という称号が松山英樹に与えられました。これは、ショット後に松山英樹が落胆した表情を浮かべることが多く、それにもかかわらず実際にボールはカップから15フィート以内(4.5メートル以内)ということがよくあるから。松山英樹の表情だけを見るとみている人は「ミスショット?」と判断を誤ることからこう言われたのだそうです。それだけ彼が自分自身に高いハードルを課しているということでしょう。
■チャリティー
2013年に松山英樹は東日本大震災復興支援のための基金を設立し、出場する試合のバーディ1つで1万円、イーグル1つで2万円の資金を積み立ています。
きっかけはマスターズでした。2011年3月、東北福祉大学の学生だった松山英樹はマスターズに招待されていましたが、震災直後のため出場は難しいと考えていました。しかし被災地から寄せられる激励の言葉を受けて渡米を決意。27位に入り、日本人初のローアマチュアを獲得しました。
2016年の熊本地震のあとにも松山英樹は神奈川県内でサイン会を開きました。このときもマスターズで優勝争いを展開、7位に入った直後に日本に戻り急きょ会場に足を運んでいます。
世界ランク推移
2017年は長くベスト5以内につけていました。これまでの世界ランク最高位は2位です。個人競技で世界ランク2位はすごい数字です。
使用ゴルフクラブ
■ドライバー:テーラーメイド M3 440 ドライバー (ロフト:9度)/グラファイトデザイン ツアーAD DI 8―TX(45.75インチ) |
■FW:テーラーメイド M4 フェアウェイウッド (3番15度) |
■UT:本間ゴルフ ツアーワールド TW727 ユーティリティ (19度) |
■アイアン:ダンロップ スリクソン Z965 アイアン (4番-PW) |
■ウェッジ:クリーブランド 588 RTX 2.0 プレシジョン フォージド ウェッジ (52度、56度、60度) |
■パター:スコッティキャメロン ニューポート2 プロトタイプ |
■ボール:ダンロップ スリクソン Zスター XV ボール |
スポンサー
オークリージャパン=用具使用契約(アイウェア) |
ダンロップスポーツ=クラブ、ウェアなどを含めた総合契約 |
ファイテン=アドバイザリー契約 |
レクサス=所属契約 |
興和=パフォーマンスサポート契約 |
西川産業=サポート契約 |
ロレックス=スポンサー契約 |
野村ホールディングス=スポンサー契約 |
↓↓↓松山英樹選手の試合前のルーティンと練習メニューまとめ
アメリカのPGAツアーを主戦場に、世界を相手に奮闘する松山英樹のこれまでの活躍と素顔を紹介してきました。目標は「4大メジャーで優勝すること」と本人も明確に語っています。
これまで日本のプロゴルファーの手が届かなかったメジャータイトルを、ぜひその手につかんでほしいと思います。そのときは、遠くない日にきっとくるはずです!