出典:PGA TOUR
21歳の若さでマスターズと全米オープンを優勝、PGAツアーで通算11勝を挙げているジョーダン・スピース。ジュニア時代からいくつものタイトルを獲得、早くから注目された存在でした。そして大学を中退、覚悟を決めてプロに挑んだ直後から素晴らしい活躍を見せています。
そんなジョーダン・スピースのゴルフは家族なくしては語ることはできません。守るべき大切な存在があるからこそ、彼はゴルフに打ち込み世界の頂点まで上り詰めました。
今回はアメリカの若き天才、ジョーダン・スピースの強さの秘密とこれまでの歩みについて特集します。正確なショットの秘訣も紹介しますのでぜひご覧ください。
目次
プロフィール
ジョーダン・スピース Jordan Alexander Spieth
身長=185センチ 体重=79キロ
生年月日=1993年7月27日(25歳)
生い立ち
1993年、アメリカテキサス州ダラスの生まれ。
父・ショーンは大学時代に左投げの投手として活躍、母・シュリスは大学時代にバスケットボールの選手でした。ジョーダン・スピースは両親にならうように中学時代、野球とバスケットボールを始めました。変化球が得意な左投げの投手としても活躍しています。
父は大のゴルフ好き。ジョーダン・スピースが1歳のときには弟が生まれ、忙しかった両親はおもちゃのクラブを与えて遊ばせていたそうです。
父は機会があるごとにジョーダン・スピースと弟の2人をゴルフに連れて行きました。一緒にプロの試合を観戦することも多かったと言います。そんな彼は7歳のころから本格的にゴルフに打ち込み始めました。
アマチュア時代
出典:USGA
全米ジュニア・アマチュア選手権に出場、2009年と2011年に優勝しています。この大会で複数優勝したのはタイガー・ウッズに続く史上2人目の快挙でした。
ジョーダン・スピースはテキサス大学に進学後、大学の一員としてNCAA選手権に優勝。全米の大学のオールスターとも言える「オールアメリカン」にも選ばれました。
また2012年にアマチュアとして出場した全米オープンでは21位タイに入り、ローアマチュアを獲得しました。
プロ時代
大学は1年で中退、ジョーダン・スピースは2012年にプロに転向します。
PGAツアー初勝利
2013年7月、ジョーダン・スピースはPGAツアー初勝利を手にしました。
この年の参戦3戦目、プエルトリコ・オープンでは2位タイ。AT&Tナショナルでは6位に入るなど、早くも頭角を現してきたスピース。7月のジョン・ディア・クラシックでは、ザック・ジョンソン、デビッド・ハーンとの5ホールに及ぶプレーオフを制してうれしい初優勝を果たしました。
この年はウィンダム選手権で単独2位、ツアー選手権でも2位タイに入るなど活躍。賞金380万ドル(日本円で約4億2千万円)余りを獲得し、ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)に輝きました。
メジャーでの活躍
出典:TIME
メジャー出場3戦目となった2014年のマスターズでは2位タイの成績を収めたジョーダン・スピース。2015年にはメジャーの舞台で素晴らしい成績を残します。
マスターズでは最終日、2位に4打差をつけてスタート。前半のうちに差をさらに広げてトータル18アンダーでフィニッシュ。1976年のレイモンド・フロイド以来5人目となる、初日から単独首位を守っての完全優勝を果たしました。21歳の若さでのマスターズ勝利は史上2番目の記録となりました。
続く6月の全米オープンでは4人が首位タイで並ぶ大混戦の終盤戦に。最終日、ダブルボギーを叩いたもののトータルで1つスコアを伸ばして抜け出します。
トップで他の選手の結果を待つ中、最終組のダスティン・ジョンソンが「決めれば優勝」となるイーグルパットを外し、結局3パット。これによってジョーダン・スピースの全米オープン初優勝が決まりました。
全英オープンでは4位タイ、全米プロでも単独2位と大きく躍進。年間で賞金1200万ドル(日本円で約13.2億円)を獲得、世界ランキング1位にも輝くなど頂点に上り詰めました。
夢のグランドスラムへ
出典:KERA NEWS
2016年、ツアー2勝を挙げたジョーダン・スピースは2017年、全英オープンでメジャー3勝目を勝ち取ります。
首位スタートのジョーダン・スピースは序盤でスコアを落とし、苦戦。2位から出たマット・クーチャーに一時追い抜かれる展開となります。
しかし14番でバーディ、15番でイーグルをもぎ取るなど底力を見せて69でフィニッシュ。スコアを1つ伸ばしトータル12アンダーで全英オープン初優勝を飾りました。メジャータイトルはこれで3つ目。残すタイトルは全米プロのみとなりました。
2018年もマスターズで3位、全英オープンでは9位タイに入るなど依然として大きな存在感を見せているジョーダン・スピース。さらなる活躍、そして夢のグランドスラム達成がとても楽しみです。
メジャー成績一覧
これまでの獲得賞金
2014 | $4,342,748 |
2015 | $12,030,465 |
2016 | $5,538,470 |
2017 | $9,433,033 |
2018 | $2,793,536 |
合計 | $38,018,072 |
スイングの特徴
ジョーダン・スピースは左利き右打ちです。そのため通常のオーバーラッピングではなく、左手の人差し指を右手にひっかける逆オーバーラッピングを採用しています。
さらにウィークグリップに握るのも特徴。これは左利きのためにフックが出やすくそれを修正するスイングを身につけるためだったと言います。
スイングでは左肘が曲がったインパクトをしている点が特徴です。手首を返さずに左肘を曲げたままインパクトしてフォローを出すことで、フェースが閉じる動きを抑えています。フック防止の対策です。
アマチュアの左肘が引けるのとは別のものです。ジョーダン・スピースは左ヒジがやや曲がったままヘッドを真っすぐ出して上へフォローを大きく出していきます。長く大きなフォローによって、インパクトゾーンも長くなって飛距離アップにつなげています。
ここが世界トップクラス
出典:USA TODAY
ジョーダン・スピースは決してドライバーを飛ばす方ではありません。平均飛距離は2018年度で299ヤードあまり、パワーヒッターが揃うPGAツアーの中では61位と目立ってはいません。
しかしアイアンの精度は抜群です。PGAツアーのデータでも50ヤード~125ヤードのラフからのアプローチどれだけ寄せたかを示す数値で1位に(2015年)。
さらにジョーダン・スピースはこう語っています。「飛距離やフェアウェイをキープすることを考えるよりも、どのアングルからグリーンを狙うかに重点を置いている」。
いかに狙いやすい位置からグリーンへ打っていくか。正確なアイアンとともに戦略の面でも秀でているからこそ、これまでの躍進につながっています。
強さの秘密
出典:Titleist
ジョーダン・スピースの快進撃を支えているのはパターです。
2015年、ラウンド平均27.82でツアー1位。翌年も同じ数字で1位を獲得しています。
スピースは15歳のときから「スコッティ・キャメロン009プロトタイプ」を愛用し続けています。このパターは軟鉄素材でできていて柔らかな打感が特徴です。
グリップは左右の手が通常と逆になる「クロスハンド」。打ち方は独特でショートパットはボールを見ないで「カップを見て打つ」方法です。なかなかアマチュアには真似できるものではありませんが、これも長年の経験でストロークが染みついているトッププロならではの技術と言えるでしょう。
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性格と人柄
出典:SportsDay
・大切な家族
ジョーダン・スピースが7歳のとき、妹のエリーが誕生しました。
神経に障害が見つかった妹は、生後1カ月以上も保育器の中に。父親に連れられて、毎日病院に通ったジョーダン・スピースは、眠っているエリーを眺めながら、心に誓いました。「僕がエリーを守るんだ」と。
それから、一人で黙々とゴルフの練習をするようになりました。友だちが映画館やプールに行っているとき、そして日が暮れたあとでもコースで練習を続けました。「私や妻の手をなるべくわずらわせないようにしていた」。父のショーンは振り返ります。
ハイスクールに通うようになっても学校の授業やゴルフの合間に時間を作り、エリーの通う学校へ足を運びました。ボランティア、送迎など自分ができる役割を精いっぱい果たします。
妹のためにゴルフをする。そう誓ったジョーダン・スピースは2013年に初優勝をした直後、「ジョーダン・スピース財団」を設立。障がいや経済的事情により教育が受けられない子供たちのために活動をしています。
妹のため、家族のために。ジョーダン・スピースの強さを支えているのは深い愛情と大切な人の存在です。
世界ランク推移
使用クラブ
出典:Golfweek
■ドライバー |
タイトリスト915D2(9.5° Tour AD IZ-6 X) |
■FW・UT |
タイトリスト915F(15°)、818H2(21°) |
■アイアン |
タイトリスト718 T-MB (3I~4I)、718 AP2 アイアン(5~9I) |
■ウェッジ |
タイトリストSM7-F(46/52°)、SM7-S(56°)、SM7-L(60°) |
■パター |
タイトリストスコッティ・キャメロン009 |
■ボール |
タイトリストProV1x |
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今回は、ジョーダン・スピースのゴルフについて詳しく紹介しました。モンスター級の飛距離を出す選手が多い中、コースマネジメントとアプローチやパターの正確性で勝利をつかんでいます。2012年にプロ転向してまだ7年。今後の活躍もとても楽しみです。きっと歴史に刻まれるであろう、ジョーダン・スピースのプレーにますます注目していきましょう。