「レディースのドライバーのロフト角は何度にすべき?」
「ロフト角12度と13度では何が変わるの?」
この記事では、そんな疑問・悩みを持っている女性ゴルファーのために、ロフト角の役割や特徴、レベル別・タイプ別の選び方、適切な角度などを初心者にもわかりやすく解説していきます。
ロフト角はドライバーショットの弾道を決める重要なポイント。とくに男性ほどの力やヘッドスピードがない女性ゴルファーでもしっかり飛距離を出すには欠かせないポイントといえるでしょう。
自分に合ったロフト角のドライバーを選ぶだけで、飛距離や方向性の向上に繋がりますので、「ボールが上がらない」「スライスが止まらない」など、ドライバーショットに悩みのある女性ゴルファーはぜひご覧ください。
目次
ロフト角とは
ロフト角とは、ゴルフクラブのフェース面の角度を指します。シャフトが地面に垂直になるように構えたとき、地面に対して垂直のラインとフェース面の角度がロフト角として表記される仕組みです。
ロフト角は大きく「ショットの打ち出し角」と「スピン量」に影響を与えます。
一般的にドライバーなどの長いクラブであればロフト角は小さく、ウェッジなどの短いクラブはロフト角が大きくなります。
ロフト角が大きいと球が上がる
基本的にロフト角が大きい方が、高弾道なボールを打ちやすいです。つまり、ロフト角12度よりも13度の方が簡単にボールを上げられます。高弾道になる主な理由には以下の2つがあります。
1つ目はフェース面が上を向いているためです。アプローチウェッジを使えば簡単にボールが上がるように、ドライバーもロフト角が増えればそれだけ高弾道のボールを打ちやすくなります。
2つ目の理由はロフト角が大きいとバックスピン量が増えるためです。バックスピンが増えるとボールの浮力が大きくなり、ショットの弾道が上がります。ロフト角が1度違うと、最大で600~800回転のスピン量の違いが生じます。
言い換えれば、ロフト角が小さいと打ち出し角は低くなり、スピン量も減るため、ショットの弾道が低くなりやすいです。
ただし、弾道は「高ければ(低ければ)良い」というわけではありません。高すぎても低すぎても飛距離ロスの原因となるため、自分に適したロフト角を選ぶことが重要となります。
ロフト角が大きいとサイドスピンが減る
ドライバーのロフト角が大きくなると、サイドスピンへの影響が減少します。
大きいロフト角の場合、増えた分のバックスピンによってサイドスピンの量が相殺されるためです。
サイドスピン量が減少すると、スライスやフックの曲がり幅も少なくなります。その結果、同じスイングでもロフト角が大きいと左右へのミスが少なくなり、安定感が上がりやすくなります。
女性ゴルファーのための基本をスイング~ラウンドデビューまで解説します
ドライバーのバックスピンと飛距離
バックスピンの量はドライバーショットの飛距離にも大きく影響する要因です。
一般的に、ドライバーのバックスピン量の平均は2,000~2,500回転/分程度と言われています。(インドアなどの計測器で簡単に測れます)
しかし中には、ドライバーのバックスピン量が2,000回転以下や4,000回転以上といった方も存在します。自分のスイングに最適なスピン量を出すことが飛ばしのポイントです。
自分のスイング技術によって打ち出しの角度を出せれば、若干の低スピン(1,900回転程度)の方が大きな飛距離を出せます。飛ばし屋やドラコン選手などはロフト角の小さい低スピンのドライバーを使っています。
しかし、基本的には上記の数字が平均とお考えください。
バックスピンが多いと吹き上がる
バックスピン量が過剰に多いと、ボールがホップし、上空に上がるだけの飛ばないショットになります。
バックスピンによってボールの浮力が高まりすぎているためです。これを一般的に「吹き上がり」と呼びます。
上記画像の赤線のようにボールが吹き上がると十分なキャリーが出ず、ランの勢いもなくなるため注意が必要です。
このような打球が出る場合は、ドライバーのスピン量を減らす必要があるでしょう。
バックスピンが少ないとドロップする
一方で、バックスピン量が過剰に少ないと、打ち出してすぐにボールが落下してしまうようなショットが出ます。(画像青色線)ボールの浮力が少なく、ボールが上がる力が働かないためです。
これを一般的に「ドロップ」と言います。
ドライバーショットがドロップすると、ランは出やすいですが、キャリーが大きく減少します。その結果、トータルの飛距離は減少し、コースのコンディションによっても飛距離にバラツキが生まれてしまいます。
このような場合は、ドライバーショットのバックスピン量を増加させる必要があるでしょう。
ロフト角12度と13度の違い│メリット・デメリット
レディースのドライバーではロフト角12度や13度のモデルが多いです。
わずか1度の違いであっても球筋に大きく影響を及ぼすため、それぞれのメリット・デメリットを適切に理解しましょう。
ロフト角12度のメリット・デメリット
メリット | 球の高さを抑えられる、バックスピンを減らせる、ボール初速が上がる |
デメリット | 球が上がりにくい、サイドスピンがかかりやすい |
結論、球が吹き上がりすぎて飛ばないゴルファー、ヘッドスピードが速めなゴルファーにはおすすめです。
ロフト角12度のドライバーは13度と比較して、打ち出し角やバックスピン量を抑えられますので、ショットの初速が向上します。
しかしその分、自分のスキルで高い球が打てること、ある程度のヘッドスピードがあること、が求められます。
デメリットはロフト角が小さい分、打球が上がりにくい点が挙げられます。非力な方がロフト角12度のドライバーを使うと、キャリーが落ち、飛距離ロスの原因となるため注意が必要です。
また、ロフト角が小さいとバックスピンが減った分、サイドスピン量が増えやすくなります。
スイングが安定していない初級者が小さいロフト角のドライバーを使うと、左右へのミスが大きくなるリスクが生じる点にも注意しましょう。
なおロフト角を11.5度、11.0度と小さくしていけば、これらのメリット・デメリットはより顕著に現れます。
ロフト角13度のメリット・デメリット
メリット | 球が高くなる、バックスピン量が増える、サイドスピンがかかりにくい |
デメリット | 球が上がりにくい、ヘッドスピードが必要 |
結論、非力なゴルファーや初心者さんにおすすめです。
ロフト角13度のドライバーは打ち出し角が高く、バックスピン量も多いため、易しく高弾道なボールを打てます。非力な女性であってもボールが上がり、飛距離アップに繋がります。
また、サイドスピン量も減少するため、スライスの曲がり幅も減少します。ショットの直進性が向上するため、ミスを最小限に留めたプレーが可能です。
しかし、ヘッドスピードが速い女性がロフト角13度のドライバーを使うと、ボールが過剰に上がる原因となります。その結果、飛距離が落ち、実力やクラブの性能を最大限に活かせない可能性があります。
個人差があり一概には言えませんが、12度のドライバーよりは13度のドライバーのほうが初心者向けといえます。
あなたは何ヤード?番手ごとの飛距離の目安をチェックしてみてください
【レベル・スイング別】レディースドライバーのロフト角の選び方
レディースのドライバーを選ぶ際は「ゴルフスイング」と「ヘッドスピード」に合わせたロフト角選びが重要です。
以下ではゴルファーのレベルやスイング別のロフト角の選び方をご紹介します。
初級者は13度ドライバーがおすすめ
ゴルフ初級者の女性は、ロフト角13度程度のドライバーがおすすめです。特に非力な方は13度を超すロフト角を採用しても良いでしょう。
ゴルフ初級者は自分の技術(アッパー軌道)で高い球を打つことが難しいです。また、スイングが安定していないため、スライスなどの横に曲がるミスも出てしまいます。
そこでロフト角が大きめのドライバーを使うことで、初級者でも簡単にボールが上がり、左右へのミスも最小限に抑えられます。
スキルアップを前提にレディースドライバー選びを行う場合は、ロフト角が調節できるモデルを選ぶこともおすすめです。
中級者・上級者は12度~13度
ゴルフ中級者・上級者はロフト角12度~13度程度のドライバーがおすすめです。
ゴルフが上達すれば、ボールを上げる技術も習得でき、左右へのミスも減少します。また、身体がスイングに慣れてヘッドスピードも上がります。
そのため、初級者のように大きめのロフト角を選ぶ必要はありません。
ただし、中級者・上級者でも非力な女性は13度以上のドライバーが有力です。一方で、スポーツ経験がある場合など、一定のヘッドスピードがあれば12度未満のレディースドライバーの選択もおすすめです。
ヘッドスピードが速い人は12度以下
ヘッドスピードが速い女性はロフト角12度以下のドライバーがおすすめです。
ヘッドスピードが速い方ほど、バックスピン量は増え、弾道は上がりやすいです。そのため、基本的にはヘッドスピードが速い方ほど小さいロフト角のドライバーが向いている傾向にあります。
実際に女子プロゴルファーはロフト角10度以下のドライバーを使っているケースが多いです。
ただし、ロフト角が小さくなるほどサイドスピン量は多くなり、左右に曲がりやすくなります。そのため、飛距離よりも安定性を重視したい方などは、+0.5度程度大きめのロフト角を使用しても良いでしょう。
いずれにせよ「ロフト角が小さい=左右へのミスが顕著に出やすい」点を理解したレディースドライバー選びが重要となります。
ヘッドスピードとロフト角の選び方
ヘッドスピード平均 | ロフト角 | |
・アマチュア男子 ・女子プロゴルファー | 42~47m/s | 9.5~10.5度 |
・非力な男性 ・力のある女性 | 38~41m/s | 10.5~12.0度程度 |
・アマチュア女性 ・シニア選手 | 33~37m/s | 12.0~14.0度 |
・非力な女性 | 32m/s以下 | 15.0度~ |
ロフト角を選ぶ際の大きな基準がヘッドスピードです。
基本的にはヘッドスピードが速い方ほど小さなロフト角、遅い方ほど大きなロフト角のドライバーが向いています。
なお女性のヘッドスピードの平均は33m/s程度です。
ただしロフト角の選び方は、サイドスピンや入射角の要素もあります。そのため、まずは上記の表を目安としたロフト角を基準として、スイングやミスの傾向に合わせたレディースドライバー選びを行いましょう。
飛距離に悩んでいる女性ゴルファーは「足幅」に注目してみましょう
女子プロゴルファーのロフト角まとめ
それでは、プロの世界で活躍している女性ゴルファーはどのくらいのロフト角のドライバーを使用しているのでしょうか。
■渋野日向子プロ |
全英女子オープンで優勝経験のある渋野日向子プロは、ロフト角9.0度のドライバーを使用しています。使用ドライバー:G410 PLUS(2022年 シェブロン選手権) |
■稲見萌寧プロ |
東京オリンピックで銀メダルを獲得した稲見萌寧プロはロフト角10.5度のドライバーを使用しています。 使用ドライバー:マーベリック サブゼロ(2022年 ヨネックスレディス時点) |
■原英莉花プロ |
女子プロトップレベルの飛距離を誇る原英莉花プロはロフト角9.5度のドライバーを使用しています。 使用ドライバー:ローグ ST MAX FAST(2022年 コニカミノルタ杯時点) |
■上田桃子プロ |
国内計16勝を誇る上田桃子プロはロフト角10.5度のドライバーを使用しています。 使用ドライバー:エピック SPEED(2022年 スタジオアリス女子オープン時点) |
■山下美夢有プロ |
2022年の賞金女王を獲得した山下美夢有プロはロフト角8.5度のドライバーを使用しています。 使用ドライバー:ZX5 Mk II (2022年 リコーカップ時点) |
女子プロのロフト角が男子プロより小さい理由
女子プロの中には男子プロよりも小さなロフト角のドライバーを使用している選手も存在します。
男子プロよりもヘッドスピードが遅い女子プロが、男子プロよりも小さなロフト角を使用する理由は、主に2つ考えられます。
まず、男子プロよりも女子プロの方がアッパーブローでインパクトをしているためです。アッパーブローのスイングであるため、ロフト角が小さくても高い弾道でボールを打つことができます。
もう1つの理由が、女子プロの方が左右へのミスが大きくならないためです。飛距離が出ない方ほど左右への曲がり幅も小さくなりやすいため、サイドスピンが生まれやすい小さいロフト角を使いやすいと考えられます。
このように、プロであっても幅広いロフト角のクラブを使用しています。一概に「ヘッドスピードが速い=ロフト角は小さくすべき」とは限らないと分かるでしょう。
参考:TrackMan PGA Tour Averages Stats | トラックマンゴルフブログ
今回はレディースドライバーのロフト角について解説しました。
基本的にヘッドスピードが速い方ほど小さなロフト角のドライバーが向いています。しかし、ロフト角が小さいほど、左右へのミスが大きくなるデメリットも存在します。
そのため、ヘッドスピードを基準としながらも、許容性や自身のスイングタイプに合わせたドライバー選びを行いましょう。
自分に合ったロフト角のドライバーを選べれば、飛距離や安定性が向上し、スコアアップも実現できるため、ぜひ参考にしてください。